読書感想「ブルシット・ジョブ」私のやっている仕事も実はどうでもいい仕事ではなかろうか…

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『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』を読みました。

「ブルシット・ジョブ」という強い言葉が気になって読んだ本です。

英語で書くと「bullshit jobs」。この本では「クソどうでもいい仕事」と訳されています。

あなたは、自分の仕事が「どうでもいい仕事なのでは?」と疑問を感じたことはないですか?

私はありますが、漠然としていてうまく言語化ができていなかったです。

この本では、自分の仕事がブルシット・ジョブだと感じている人たちの例が多く書かれており、ブルシット・ジョブが何なのか具体的な例をもとに知ることができます。

目次

ブルシット・ジョブとは何だろう

ブルシット・ジョブの定義

この本の序盤では、ブルシット・ジョブの暫定的な定義として、次のようにされています。

ブルシット・ジョブとは、被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある雇用の形態である。

ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論

そして、ブルシット・ジョブは5つに分類されています。

  1. 取り巻き(フランキー)の仕事
  2. 脅し屋(グーン)の仕事
  3. 尻拭い(ダクト・テーパー)の仕事
  4. 書類穴埋め人(ボックス・ティッカー)の仕事
  5. タスクマスターの仕事

分類は網羅的ではないとしていますが、どれも実際にあると思わされた分類です。

この本では、ブルシット・ジョブの例として、実際の人の体験がかなり多く出てきます。

例となる体験を読むことで、なるほどこれがブルシット・ジョブかとわかります。

ただし、この本は英語の本を日本語に翻訳した本ですので、例は日本ではなく海外でのものです。共通点はあるものの日本とは少し異なる感覚はあると思います。

ブルシット・ジョブの例

書類の画像

本にはかなりたくさんのブルシット・ジョブの例が出ています。そのうち、ほんの少しだけ、例を紹介します。

取り巻き(フランキー)の仕事

フランキー(Flunkies)とは、取り巻き、おべっか使い、腰巾着などの意味があります。

つまり、取り巻きの仕事とは、誰かを偉そうに見せたり、誰かに偉そうな気分を味わわせるための仕事ということです。

例に、とある会社の受付嬢の話がありました。

受付嬢は電話が鳴ったらその電話の対応をするのですが、電話が鳴るのは一日に一度あるかどうか。それで、別の仕事をあてがわれていたのですが、その内容はキャンディのお皿にキャンディを補充したり、会議室の柱時計のネジを巻いたり。

受付嬢にやることがなかったとしても、他の人が代わりにやれるような仕事であったとしても、受付嬢はちゃんとした会社であることの証として存在することが求められていました。

脅し屋(グーン)の仕事

グーンはgoonsのことと思います。不良、暴力団、ならず者、暴れん坊などの意味があります。

ここでは、比喩としての表現であり、仕事に脅迫的な要素をもっているという意味で使われています。

例として、映像制作会社の話がありました。

映像制作会社は広告代理店から仕事を依頼されることがあります。その仕事では、商品を売るために、需要を捏造したり、商品の効能を誇張して見せたりする映像を制作する場合があります。

ここでは、人を欺き、自分の良心に反する仕事を求められていました。

尻拭い(ダクト・テーパー)の仕事

ダクト・テーパーはduct tapersですかね。直訳だとダクト(管)にテープを貼る人になります。

欠陥を補修する人の意味で使われています。

ここでの例に、報告書の校正の話がありました。

統計のことをよく知らない人が作った報告書を確認するのが仕事です。ほとんどの場合、報告書はひどいもので、大幅な修正を依頼することになっていました。しかも、その修正は受け入れられず、泥沼化する場合もあります。

目上の人間の不注意や無能さが引き起こした損害を、現状復帰させることが仕事である部下の例でした。

書類穴埋め人(ボックス・ティッカー)の仕事

ここでは、地方自治体での住宅に関わるサービス基準の策定の業務についての例がありました。

作成した報告書は見栄えが良く、褒められはしたがファイルに綴られて終わり。住民には、何の影響をもたらすことはないのに、多くの時間が報告書の作成に使われていました。

書類が本来の目的の達成になんら寄与せず、偉い人が満足するためだけに存在しており、そのために書類作りをしている例でした。

タスクマスターの仕事

タスクマスターの仕事はさらに2つに分類され、一つは他人への仕事の割り当てだけをする仕事、もう一つは他者のなすべきブルシットをでっちあげる人とされていました。

前者は中間管理職によく見られるもので、部下が監督されなくても仕事を進められる場合、役に立たない人になってしまいます。

後者はさらに、管理者として他の人にこれまで出てきたようなブルシットな仕事を与える仕事で、有害でもあると考えられています。

そして、ここに例として出てきた人々は皆、自分の仕事を無意味と感じたり、必要ないと感じたりしているのです。

ブルシット・ジョブは不幸なのか

キーボード画像

自分の仕事をブルシット・ジョブだと感じにくい人もいます。看護師、医師、消防士、バス運転手、ミュージシャンなどです。世の中に良い影響を与えていると感じやすい職業です。

ブルシット・ジョブは、仕事をしている人自身が無意味な仕事だと感じているという特徴があります。

しかし、ブルシット・ジョブは労働条件が良かったり、報酬が良かったりする職業である場合も多いです。

そして、ブルシット・ジョブはどんどん増えている傾向もあるようです。

ブルシット・ジョブだとしても、それで良い報酬がもらえれば良いのではないかとも思います。

しかし、この本では、人が何もしないで対価を得ることが、往々にして、苛立ちをおぼえ、耐えがたく、息苦しい経験であるとしています。

自分が無価値と感じたり、罪悪感があったりしながら、自分が有意義な仕事をしていないことを隠しながら生きている人が多いのです。

お金と引き換えに、自分らしさを失っているのかもしれないですね。

約400ページの分厚い本なので読むのは楽ではない

ブルシットジョブの本の厚さ

この『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』は424ページある本です。

私はあまり読書慣れしていなので、読むのが少し大変でした。そして重い。また、英語から日本語に翻訳された本なので、少し読みにくさもあります。

もし読むのが大変そうと思ったら、『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』という256ページの本もあるので、こちらから読むのも良いのではと思います。

また、本を翻訳/執筆した酒井隆史さんによる本の紹介記事もあるので、これを読んで興味があったら、本を読んでみるのも良いと思います。

ブルシット・ジョブが気になってきた

ブルシット・ジョブの本を読んで、私自身の仕事も「ブルシット・ジョブなのでは…」と思ったりもしました。

自分の仕事に疑問を感じている人は、この本を読んでみても良いと思います。

この本では、それでどうするの?ということはあまり書かれていません。少しだけ書かれていますが、この本は解決方法を示すのではなく、問題提起をしている本ではないかと思います。

それでも、いろいろな人のブルシット・ジョブ例や筆者の考えを読むことで、自分の毎日や社会について少し考えるきっかけになるかもしれません。

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