ファシリテーションとは会議やミーティングなどが、より良いものになるようにサポートする技です。
ファシリテーションをする人のことをファシリテーターと呼びます。議長や司会とは少し異なります。
会議やミーティングだけではなく、日常生活での会話や飲み会などでも使えるスキルです。
また、自分がファシリテーターをしない場合でも、ファシリテーションのことを知っていると会議の質は良くなります。
ビジネスに関わる人や、コミュニティに参加している人は、ファシリテーションを知っておくと良いと思います。
そこで、ファシリテーションに関するおすすめの書籍を紹介します。
こんな人に読んでほしい
会議などで、このように思うことはありませんか?
- この会議は一体何のために行われているのだろう?
- 会議をしたけど、何も決まらなかった
- 偉い人の意見だけで決まった
- 話の内容がズレて脱線する人がいる
- 会議に参加しても意見を言わない人がいる
- 意見が割れてまとまらない
- 思いつきみたいな案で決まったけど大丈夫か
- 何か決まったけど次の行動には繋がらない
- この会議に私は参加する必要ありました?
私は全部あります!
このような状態になるより、会議の出席者が、会議に関心を持ったり、やる気があったりしたほうが良いと思いませんか?
そんな時は、ファシリテーターが会議にいるほうが良いです。
「でも、ファシリテーションってどうしたらいいの?」と思った人におすすめの本が「ファシリテーションの教科書」です。
おすすめの本「ファシリテーションの教科書」
書籍情報
ファシリテーションはこの1冊を読んでおくと良いと思います。
- 著者:グロービス経営大学院 著 吉田素文 執筆
- 出版社:東洋経済新報社
- 発売日:2014/11/13
読みやすい構成の本です
全11章で構成されており、1~10章はこういうケースがあるよねという例からはじまります。
活発な発言が矢継ぎ早に出てきたが、だんだん何の話をしているのか、わからなくなってきた。営業についての議論であれば、考えるべきポイントも、そしてある程度の結論も自分の中にあった。しかし、今回はそうではない。どの意見もそれなりに納得できるが、どう整理し、結論を導けばよいのかわからない。1つの発言の意味について考えているうちにどんどん話が進んでしまっていた。そうこうするうちに、次第に頭の中が真っ白になってきた。
グロービス; 吉田 素文. ファシリテーションの教科書―組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ
どの章も、わかる…という気持ちになるケースから始まります。
ですので、各章にとりかかりやすいと思います。
Part 1 「仕込み」について簡単に紹介
Part1(2章~5章)は「仕込み」について書かれています。「仕込み」とは事前の準備のことです。
会議にあたり、このようなことを知っておいたり、考えておいたりすると良いですよという内容だと思います。
本では、会議において下記の合意形成ステップがあるとしています。
- 場の目的の共有・合意
- アクションの理由の共有・合意
- アクションの選択・合意
- 実行プラン・コミットの確認・共有
少し難しい表現だと思うので、私の理解で書くと、こんな感じです。
- 何の話をする?話をする目的は?ゴールは?などについて話し、向いている方向を同じにする
- 何が問題?どこが問題?原因は?などについて話し、問題意識が同じになるようにする
- 何ができる?何を選ぶ?リスクは?などについて話し、何をするか納得して決める
- いつ、誰が、何をするか、今後の対応を明確にし実行されるようにする
このステップをベースに、ファシリテーションでは、どのように取り組むか、どのような点に気をつけるか、困りそうなケースではどう対処するかなどが書かれています。
そして、論理思考や問題解決にも触れられています。この本を読んでも勉強になりますし、論理思考や問題解決をもっと学びたい場合は、別の本も読むとより理解が深まると思います。すでに学んだことがある人にはファシリテーションへの活かし方の参考になると思います。
Part 2 「さばき」について簡単に紹介
Part2(6章~10章)は「さばき」について書かれています。「さばき」は会議中に参加者の発言を活発にしたり、結論に導いたりすることです。
ファシリテーターが会議の参加者に寄り添うことで、参加者に発言してもらい、ファシリーテーターはそれを理解し、よりわかりやすくまとめるみたいな感じです。めっちゃ良い人ですね!
本では、「さばき」の基本動作を以下としています。
- 発言を引き出す
- 発言を理解し、共有する
- 議論を方向づける
- 結論づける
当たり前のことのようですが、これが難しいのですよね。
例えば、「発言を引き出す」というのは、簡単なのは「○○さんは、どう思いますか?」などで話題をふる方法がありますが、ファシリテーターはそれだけではなく、どうしたら発言したい気持ちになるか、どうしたら発言しやすくなるかまでやります。
また、議論に抜け漏れがないか、どこかに議論が偏っていないか、主張と根拠はつながっているかなどに気をつけながら、論理的に内容をまとめて議論の納得感を高めます。
さらに、議論がうまく進んでいるときには敢えて介入しなかったり、対立が起こったときには対立の理由に合わせて対処したりします。
ファシリテーションとはそこまでするのか!という気持ちになりますが、本には具体的にどう振る舞うか、何をするか書かれているので、参考になります。
会議でも日常生活でも役立つ良書です
思考系の本は読んだ時は「そうか!」と思いますが、実践は難しいですよね。
「ファシリテーションの教科書」は何度か読んでいますが、読むたびに「そうだ、これもあった…!」とか「これは未だにできないな~」とか思っています。
それでも、理解したことをやれることからやって、少し良くなればそれで良いと思います。
普段の飲み会なんかでも、ファシリテーションの上手い人は、参加者全員が楽しく話せるように誘導しています。そういうところからやってみるのも練習になります。
また、自分がファシリテーターをしない場合でも、ファシリテーションのことを理解している人が会議に参加していればファシリテーターもやりやすくなるので、ファシリテーター一人に任せるのではなく、お互いに勉強しておくのも良いです。
良書だと思いますので、興味がありましたら、ぜひ読んでいただければと思います!